津山三十人殺し

津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)

津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)

読了。ふう、これまた、どヘヴィな内容でした。勿論、都井睦雄の殺戮シーンも情報量、圧倒的な筆力で描写されており読んでいて眩暈を起こしそうでした。またこの本のあとがきにあった

人間が本物の悪魔に堕していく様

が克明に記されている点がなんとも。絡み合った複数の因子が腐臭を放ち濃度の高い悪意となって事件へとなっていく経緯が具に描かれており、また現代のこの手の事件にも通じるキーワードも複数見受けられます。戦前の日本で起こった話であり装備の面などでここまでの事件は日本では起きないと思われますが、こうした、人間が人間でなくなる事件は悪意が熟成されやすい現在の日本では形は違えど容易に発生していくのではないだろうか、と暗澹たる気持ちになりました。