ドッグ・イート・ドッグ エドワード・バンカー

ドッグ・イート・ドッグ (ハヤカワ文庫NV)

「レザボア・ドックス」のMr.ブルー役、エドワード・バンカーの渾身の犯罪小説です。本作はなによりそのリアルな描写につきます。犯罪を犯した人間のその心うち、たとえばなにかやましいことをしたとき、警官に職質をうけたときの心情や、その後の妄想と暴走。この犯罪者の心理の生々しさこそエドワード・バンカーの真骨頂です。また、この小説の緊張感を高めているひとつの要因として、カリフォルニア州の所謂「三振即アウト」法によるところも大きいでしょう。重罪を3度犯したものは自動的に25年から終身刑にされる最悪の状況の中、本作の主人公トロイは次でアウトとなる状況です。その緊張感のなか、最後の勝負に出るトロイを中心に胃の痛むような一級犯罪小説になっています。
うう、エドワード・バンカー、昨年お亡くなりになっていたとは。R.I.P

バンカー原作でダスティン・ホフマン主演の「ストレート･タイム」も同様に犯罪の中でしか生きられない悲しい性の男を好演した秀作です。

ストレートタイム (角川文庫)

ストレート・タイム [VHS]