ラブラバ エルモア・レナード

シークレットサービスのカメラマンを主人公に、古い友人、カメラマンの憧れの女優を中心に小悪党の悪巧みが展開されるクライムノベル。
とにかく、前半は入れ替わり立ち代り出てくるキャラクターの人物像や心情、舞台となるフロリダの日常を事細かに書き綴っているだけのように読めるため、d:id:HikaruNoir:20060331で言及されている通りこのあたりは大変読むのに苦労します。しかし、これが中、終盤になって生きてくるんですね。読み手へ充分に与えられた情報によって各キャラクターが生き生きとし、まるで目に見えるように話が進んでいきます。ここでしょうね、このグルーブ感、レナードタッチの真骨頂は。また構成として各キャラクターの主観、主人公の主観、物語の客観のバランスが良い為、真相に迫る場面がやたらと劇的になっています。ほろ苦い、けどクールなエンディングもよし。
「ラブラバ」で起きる事件も悪党もやっぱりチンケです。ですから本著も映画にするとなかなかうまくいかない話でしょうけど、しかしこれだけ魅力的な物語にするレナード、やっぱり面白い。
さて、次は「バンディッツ」です。
バンディッツ

バンディッツ